
早期教育ということで幼稚部に入学することになり、遠距離だからと寮に入りました。一週間、母子で過ごし最後の日に遠足に出たあと、帰って来ました。
そのときは、ほんとうに親も子も一緒に泣きました。その後、心配の余り私は体をこわし、子供も落ち着かず、けんかばかりして性格も荒っぽくなりました、「これではいけない」と、寮を出て、母子で二年間、一日も休まずに、片道二時間、車と電車を乗り継いで通いました。
息子は一年生から一人で六年生まで通学しましたが、中学部からはクラブ活動に入るからと寮生活を始めました。このころには学校にも慣れ、高等部では寮長や生徒会長もやりました。専攻科は木工の技術を習い、夏休みには運転免許を取りました。
県外の自動車メーカーのデザイン部に就職して十年余りになります。職場の上司や周囲の人たちの理解もあり喜んでおります。
一昨年結婚して、最近一児の親になりました。多くの人たちにお世話になりましたが、お陰さまで、自立心も育ち遠く離れて生活しております。次から次へと心配はありますが、もうお嫁さんもおり、次第に心配も薄れてきています。最近では反対に息子に教えられることもあります。
あれから三十年あまり、私も五十歳半ばになりました。今ではファックスで、いろんなことをやりとりしています。これからは一家が健康で暮し、私はときどき孫を見に行きたいと思っております。「この幸せが末長く続きますように」、どこへお参りしてもお願いしています。
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